日本語の由来 あいさつ編 ②

私たちは人に手伝ってもらったり親切にしてもらったりしたときには「ありがとう」と言います。この「ありがとう」は「ありがたい」が変化していった言葉で、「有り難い ⇒ 有ることが難しい ⇒ めったにない ⇒ 珍しくて貴重だ」というのがもともとの語源です。

平安時代の随筆『枕草子』の中では「姑に気に入られる婿や嫁」などが「ありがたきもの」として取り上げられています。中世以降は仏教の影響を受け、仏の慈悲や得難い体験への感謝の気持ちを表す言葉として使われるようになりました。

また、人に迷惑をかけたり、何かに失敗したら「ごめんなさい」と言いますね。「ごめん」を漢字で書くと「御免」となります。「免」には「逃れる・許す」という意味があり、「御」は相手への敬意を示しています。つまり「(相手に対して)これ以上責めないでください」という気持ちから「ごめんなさい」という言葉が謝罪の表現として用いられるようになりました。

この「御免」には別の使われ方もあります。たとえば、よその家を訪問するときに「ごめんください」と言いますが、これは「家に入ってもよろしいですか」と、相手の許しを得ようとしていることになります。

また「そういうことはごめんだ」という場合の拒絶の「御免」も、自分が望まないことから「逃れたい・許されたい」という意味を含んでおり、語源は同じです。